ブルーベルリトミック
子ども時代の秘密
子供時代の秘密 私は、年の離れた兄弟の末っ子だったせいか、一人でなったつもり遊びが大好きでした。 自分で空想の世界に浸っていると何だかワクワクして本当に楽しかったです。 その遊びの一つがスキップして家の周りを回るというものです。イメージの中で長い髪を風にたなびかせてスキップするのです。残念ながら髪の長くなかった私は母親のスカーフを髪に巻いていました。でもスカーフを巻いてスキップをしている姿は恥ずかしく絶対人に見せる訳にはいけないのでひたすら塀の中の家の周りを回っていました。空想の中でスキップしていると色々なことが頭に浮かんできます。バレリーナになったこともあったし、フィギュア選手になったこともありました。でも空想の中に浸っているとき家人がひょっこり顔を出そうものなら途端に何事もなかったように地面に顔を向けていました。この遊びは絶対人に見られてはいけなかったのです。どうしてかは分からないですが、絶対に人に言いたくかなかったのです。自分だけの秘密でした。子どもの頃の私は人見知りで目立つことが好きではなく、人に自分のことを話すことも好きではなかったのです。それが結果的には人前に出る仕事をしているのですから人生は分からないものだとつくづく思います。 時が経ち大きくなり友達と遊ぶようになったらいつのまにかその遊びは遠い記憶になってしまいました。 今では風を切って飛んでいた微かな記憶だけが残っています。 その空想の遊びはピアノを習うようになって今度はピアノの上で空想遊びをするようになりました。ピアノの練習はしませんでしたが、レコードをかけて(当時はシングル盤のレコード)ピアノのふたを閉めてピアニストになったつもり遊びをしていました。 自分が習っている曲はレコードもないし、全然カッコよくないのであまり弾く気にならず、いつも先生に怒られた記憶が残っています。 しかし、このピアノ弾き空想遊びも練習がだんだんと本格的になった頃から遊ばなくなりました。楽譜が読めるようになると現実的になってしまい知識が邪魔しているのかもしれません。 でも弾いたつもりになった音楽の新鮮さはやはり耳のどこかに残っています。 私がやっているリトミックもピアノ演奏も子どものときの空想がよみがえったものかもしれません。 あのスキップもピアノ遊びも本当に楽しかったのです。私は子どもの頃、集中力がないとか、理解力が遅いとかよく言われました。今から思うといつのまにか自分の世界に入ってしまっていたのかもしれません。
今の子ども達は塾や習い事、友達関係など毎日忙しくてボーっと空想の世界に浸っている暇はないように見えます。しかし、私たちに見えないだけできっと子どもたちの頭の中は大人が知り得ない空想の世界が広がっています。
時代は変わっても、子ども達の目の輝きは変わりません。
私たち大人が忘れてしまったトキメキを子ども達からまた思い出させてもらえたら、それはとっても素敵な事なのかもしれません。
青村理恵子